ストーリー
物語は主人公(名前は与えられていない)が、ミルダスという最愛の女性と出会い、結婚するものの、まもなく彼女を亡くすところ所から始まる。当然のように打ちひしがれる主人公は、生きる希望さえ失くしかけていたが、ある夢を見るようになってから再び生きる気力を取り戻し始める。それは夢というよりも、確かな記憶のようなものだった─そう、遥か百万年後の未来の、「ナイトランド」の記憶だった。物語は、彼の口を借りて、その驚くべき未来の姿を語り始める・・・。
遥か未来の地球、そこはすでに太陽が死に絶え、世界は妖怪や怪物が跋扈する恐怖の世界に変貌していた。それが「ナイトランド」である。世界がこのようになったのは、古い科学が暴走したため、地球を守っていた磁場が破れ、異世界からの邪悪な存在の浸入を許したからだという。生き残った僅かな人々は、地上8マイル、地下100マイルという、巨大な「ラスト・リダウト」というピラミッドを建設し、「サークル」と呼ばれる防護チューブに守られながらそのエネルギーが枯れ果てるまでの、永遠の終わりを生きていた。そこに住む人々は誰も、世界はその《ラスト・リダウト》のみだと信じていたが、ある時、「未来で目を覚ました」主人公は、その身に備わっている《夜の耳》という特異な感覚で、もう一つの「ピラミッド」からの声を聞く。それは、彼の心を激しく揺らす声だった。その声の持ち主「ナーニ」こそが、かつて遥か昔に彼が失った妻「ミルダス」の生まれ変わった姿だったからだ。彼はその声から、「ナイトランド」の果てにあるもう一つのピラミッドのエネルギーが枯れ、まさに死のうとしているという事を知る。この時代でエネルギーが枯れるという事は、すなわち死を意味する。彼はその声に、単身恐るべき「ナイトランド」の彼方へと旅立つ事を決意する
数々の困難を乗り越え、大地に開いた大きな裂け目を何日もかけて降りてゆき、やがて彼は地球の内部に広がる第二の世界に辿り着く。しかし、時すでに遅く、その地に建設された《第二のリダウト》の地流は枯れて、そこにいた人々はむき出しのまま、妖魔の跋扈する世界に投げ出されていたのだ。生き残っている人はいないかに思えた。だが、絶望に直面した主人公の耳に、懐かしいナーニの声が聞こえてきた。彼女だけは、奇跡的に生き残っていたのだ。二人は手に手を取り合い、《ラスト・リダウト》への、危険だが蜜月でもある帰路につく。だが、あと一歩という所で、《ナイトランド》で最も危険な場所とされる《沈黙の家》の近くでナーニが生命の危機にさらされてしまう。
心臓の鼓動が止まり、亡骸となった彼女を抱いて、主人公は《ラスト・リダウト》へ戻る。そして彼女の亡骸を《ラスト・リダウト》の最下層にある《沈黙の園》へと安置した。そのとき奇跡が起きた。ナーニが息を吹き返したのだ。そしてそれと引き換えに、主人公は疲れから意識を失ってしまう。
やがて目覚めたとき、傍には彼女がいた。そして二人の目の前には、永遠の《愛の日々》が広がっていた。
|